2009年3月31日火曜日

サザエしずしず

 近在の漁師さんからサザエを頂いた.早速つぼ焼きにして家族で食べた.フォークで中身をつるんと取り出して、つつき回しながら齧っていた春休みの子供たちが「どうやって歩くの?」と聞くので、焼けて縮こまった腹足を示して説明してやった.腹足とは吸盤状の筋肉で、カタツムリなど巻貝の仲間が這う時に葉っぱや地面に接地している部分である.つぼ焼きになって縮こまった状態でも腹足の真ん中には縦の溝がある.この溝を境に右足と左足があって、交互に前に差し出しながら、おしとやかな感じでしずしずと歩くのである.料理屋の水槽ガラスに張り付いたものを裏側から観察しているとその様子がよく分かる.なんだか内股っぽい感じで品良く歩くのだ.同じように水槽張り付いているアワビとは歩き方が全然違う.アワビの腹足には左右がない.子供たちはどうも信用しないので、今度水槽にくっ付いているところを是非見せてやりたい.

2009年3月30日月曜日

年度末どん尻

 年度末どん詰まりで、年度内にやりたかった数々の未完仕事に恨めしげに睨まれている.年度のラインを踏み越えて、もう少し付き合うしかないものが多々ある.あー、もっとすっきり年度の切り替えを行ないたいものだと思いつつも、1年分の実験データの稼ぎ時と年度末仕事と学会やら何やらがどっと重なるのが、この3月である.やむなしと言えど、ねじり鉢巻で頑張るしかない.でも、さばけぬなあ.愚痴をこぼさずクールな顔で何事もないかのように仕事をこなす、そんな人間にいつかなってみたいものだ.

2009年3月29日日曜日

電動アシスト自転車

 修善寺のサイクルスポーツセンター (CSC) がとても好きだ.しばらく行かないと、そろそろ出かけたくなる.私にとって伊豆の中にあるそんな観光スポットは、ここと大室山の2つだけである.CSC に行きたくなった時は、子供を喜ばすことを口実に渋い顔をしながら内心嬉々として出かけてゆく.乗り放題のチケットを生協やら折り込みチラシやら JAF やらのなにがしかの割引で購入して、伊豆在住で1時間半ばかりで到着できるメリットを活かして開園と同時に入園する.そして、空いているうちに乗り物やら何やらに片っ端から乗っかってゆく.お気に入りには繰り返し乗るのである.おかげで、乗り放題チケットはあっという間にモトが取れる.300 m のロングローラースライダー、サイクルモノレール、変わり種自転車あたりがリピートの常連である.また、子供たちと周回 2 km のファミリーサーキットをぐるぐる回るのも楽しい.うちの子らは保育園とここで自転車乗りの修練を積んだ.とことん遊んで、膝が笑い始めたら午後2時過ぎにはさっさと引き揚げ、サイクル温泉で割引料金でひと風呂浴びて、帰途につくのである.今回は自転車関係の大きなイベントをやっていて、5 km サーキットに入れなかったので息子は憤慨していたが、私はそこでやっていた電動アシスト自転車体験に参加して、大変に満足であった.ものすごい急坂をまるで自分が漕いでいるかのようにスイスイと登れるあの感じはまた経験したいものだ.

2009年3月28日土曜日

稚児舞

 午後から下田の大安寺で花祭りの稚児舞が奉納された.そろいの桃色の衣装に頭には金の冠(右の写真)を載せて 10 歳までの愛らしい少女たちが舞った.まずは、本堂内で釈迦の誕生仏にお稚児さんたちが順番に甘茶をかける.それから釈迦についての法話があった.王子であった釈迦がどうして出家して修行に出たかを立ち絵を使った人形劇で分かりやすく説明していた.その後、境内に移動して稚児舞があった.年齢別に2グループが舞い、年少のグループは花の枝をかざし、年長のグループは鳴り物とともに蓮の花弁を散華しながら、輪をかいて舞った.舞いのあとは、寺の参道から門を出て、白い象(左の写真)に乗った釈迦の誕生仏を皆で曳きながら市街地を廻り、宝福寺まで行列で練り歩いた.晴れたり曇ったりでずいぶんと肌寒い一日だったが、下田の街の片隅に、ほんのひととき春の暖かさがポッと舞い降りた.

2009年3月26日木曜日

私は TA

 ここのところ一桁数字の平方根のような睡眠時間が続いて、昨夜もそんなあんばいで電車に乗ったものだから、眠くって本なんか読めたものではない.うつらうつらしては折々目覚めて風景を眺めることを繰り返していた.しようもないので、目に入るアルファベットを並べ替えて遊ぶことにした.LEVI'S は EVILS になって、なんだか悪そうだ.STEP は PETS になってかわいくなったり SEPT になって秋になったりした.ENEOS をひっくり返して H を入れたら、SHOENE になってなんだかエネルギーを節約できそうだ.JOMO は MOJO で、ブルースマンの大切なお守りだ.NAVITIME は EMIT IVAN で、なんだか輝かしいイワンの馬鹿だ.KANDA は K & A だ.意味ないな.そして、ついに気がついた.ATAMI が面白い!ただ逆さまに読むだけでよい.I'M A TA.  私は TA です.TA というのは大学で講義や実習を手伝う主に大学院生のことである.そうか、楽屋落ちか. 


2009年3月25日水曜日

絵本にはさまれるはず

 以前われから絵本を絵本出版社に持ち込んで、なかなか難しかったことを書いた.その後、ワレカラ絵本の改訂の工夫も重ねているのだが、出版社の編集者の方と海の生き物絵本のいろいろな可能性を話し合ううちに、絵本ではないけれど、ちょっとだけ磯の自然観察ガイドの文章を書かせて頂くことになった.夏あたりに発刊される磯の生き物絵本にはさまれる父兄向けガイドの文章である.推敲を重ね、参照のための写真を撮り、ちょっとだけ絵も描いてみた.却下されるのではないかと思っておそるおそる編集部に送ったのだが、なんとか採用されそうな様子で、とても嬉しい.素敵な絵本に私の文章がはさまれて、全国津々浦々に配されるのだ.その様子を思い浮べると、その文章たちはずいぶんと幸せそうな感じがする.

2009年3月24日火曜日

藻場シンポ

 東大海洋研で行なわれた『藻場研究の今−分布・生態から磯焼け対策・利用まで』というシンポジウムに出かけてきた.私もコンビナーの1人になっていたが、今回は自分の講演はなくて座長のみだった.おかげで他の方々の講演をリラックスして聞くことができた.藻場の研究には大学や公的研究機関以外にも企業など多分野の研究者がそれぞれのアプローチで携わっている.自分のやり方で藻場にとことん向き合っている人たちの研究は面白く、その姿はまぶしくさえ感じられる.水産増殖を目指したり産業化を考えたりする場合には、私たち生物学分野の研究者とは研究の進め方が自ずと違ってくる.その違いを知って、自分たちのアプローチについて見直すことは相互に利益のあることで、そのように横に広がるネットワークづくりは大切だと思う.日帰りだったので、懇親会の二次会に参加できなかったのが残念だった.

2009年3月23日月曜日

狼煙崎の山桜

 実験のために大浦湾内に船を出してもらった.天気がよくて暖かく、仕事は生け簀作業の短時間のものだったので、帰りがけの船上の数分間には周りを見廻す心の余裕があった.船が岸に向かう時、左手には狼煙崎の崖が急な傾斜をもって迫っている.その斜面には多くの樹種の木々があるようで、いろいろな濃さの緑が濃淡の模様を作っている.いまの時期にはその合間に山桜のやや薄桃がかった白色のパッチが加わって、崖全体が巨大なパッチワーク模様になる.何ともいえずに美しいものだ.一年のなかでこの素敵なアートを楽しむことができるのは、ほんの数日のみである.空が青く澄んで晴れ渡った日には、空と崖の色彩の対比も素晴らしい.狙ってもなかなか見られる風景ではない.狼煙崎の眺望は、海の近くに住む私たちだけに許された、ささやかな贅沢である.

2009年3月19日木曜日

カジメの長老

 午前中にカジメの定期計測に出かけた.気になるのは長寿カジメだ.2000 年生まれであるはずの初期の 60本のカジメのうち、昨年まで残っていたのは 3 本で、先月 1 本が力尽きた.今日はかなり潮が暗い.そのうえひどく海水温が低い.どんよりとした海水の中で計測を行ないながら確認したところ、さらに 1 本が巨大な仮根部痕のみを残して、姿を消していた.悲しかった.残る 1 本の写真を濁った海水の中でずいぶんと撮った.次回会えなくなっていたら、悲しいからだ.でも、ワイドレンズでも今日の濁りには勝てず、研究室に戻って読み出した画像データは、人に見せられない代物だった.最後の長老には長生きしてもらい、その神々しい姿を幾度もきれいに撮影させてほしいものだ.

2009年3月18日水曜日

暖か、穏やか

 海は穏やかで、船上は暖かだった.ワカメの採集に出かけたのだ.先日の強風で養殖ワカメのロープはひどく絡まりあって復旧不能になったのだが、技術スタッフの尽力のおかげで四分の一程度を海面に戻すことができた.今日は、戻せなかったために切って沈めたロープから使えそうなワカメを拾い出した.陸に戻れば、徹夜覚悟の実験作業が待っている.ワカメを引き揚げる時の海水の飛沫と海藻片で船底と自分の合羽や長靴を思いっきり汚しながら、海の上での作業を一心に励み、楽しんだ.

2009年3月17日火曜日

母校へ

 昨日、私の出身の都立高校で『キャリアガイダンス』というのが行なわれ、声がかかったので出かけていった.同窓の社会人が現役学生に自分の仕事とその仕事につくまでの経歴を話すという趣旨のもので、卒業後 30 年以上経っている面々が 10 名ほど講師として集まった.講師の経歴については事前に学生達に知らせてあり、生徒たちは自分が話を聞きたい講師の部屋に行く.医師、大学教員、会計士、建築士、社会福祉士などいろいろな職種が集まっていた.私の部屋に来たのは約 20 名だった.私が入学する直前に新築がなった校舎は 30 年後も全く変わっておらず、教室も昔のままだった.なんだかタイムスリップして、クラスの中で私の担当の発表会をやっているような心持ちになってしまった.30 年を経ているとはいえ後輩であるというだけで、なんだか生徒たちに親しみがもてたのは不思議だった.与えられた時間は 1 時間半だった.視聴覚機器の不足とかで半徹夜で用意していったパワーポイントのスライドが使い物にならず、すぐにパワポを諦めて持って行った生のワカメとヒジキを使った実習的板書授業に切り替えた.これは、パワポよりもかえって良かったようで、なんだか楽しく和やかな雰囲気の中で持ち時間を終えることができた.生徒諸氏に役立ったかどうかは怪しいところだが、私自身は常になくフレッシュで楽しい時間を楽しむことができた.ちょっと素敵な経験であった.

2009年3月16日月曜日

マークが変わった

 今日は東京へ日帰りで出かけて来た.帰りがけに、東京駅であることに気付いた.新幹線表示の案内板に付いている青いマーク、東海道・山陽新幹線乗り場への案内表示マークが変わっていたのだ.以前は 0 系新幹線を正面から見た図だったのだが、いまは 700 系新幹線の正面図になっている.0 系が昨年 11 月までで姿を消して、こんなところにも変化が現れているというか、気が遣われているのに、少々びっくりした.

2009年3月15日日曜日

ワカメが大変だ

 土曜からの強風で海が荒れている.大浦湾内に入ってくる高波のあおりを受けて、私たちのワカメ養殖ロープがひどく絡んで一部は海底に沈み、完全な回復が不能の状況に陥ってしまったようだ.部分的な復旧ができるか否かを、現在検討中である.これまでかなりデータは取っているので、全部ダメにならなければ採集や実験は続行できる.明日以降の現況調査の結果を待つことになる.土曜日のワカメ教室のために金曜日にたくさんのワカメの刈り取りを行うことができたのは、大変な幸運だった.それにしても、今まで 10 年以上こんなことは起こったことがなかった.最近、台風ほどの風でなくてもやけに大きな波が大浦湾内に入ってくるようになってきた.これが、もし台風だったら、どんな波になるのだろうか.

2009年3月14日土曜日

ワカメの観察会

 小学生を対象とした自然教室の新シリーズとして昨年度から『ワカメのひみつをしらべよう』を始め、本日2回目が実施された.参加者は 15 名であったが、下田のみならず東伊豆からの参加もあり、数名が昨年からのリピーターであったことは嬉しかった.実施側からすると 15-20 名という人数は眼が行き届いて行動の小回りもきくため、指導を行いやすい.はじめにワカメを見ないでワカメの姿をイメージで A3 サイズ紙の半面に描いてもらった(右の写真:子供たちの絵を黒板に拡大転写したもの).すると、最初から正しい姿を描いているものはなく、ひとりひとりの表現が見事に異なっていた.当然のことではあるが、子供たちが描くイメージの幅が各々の経験に関わっていそうなことが見てとれて、大変に興味深かった.それからイントロ講義をササッと行い、下田のワカメとヒジキについてのオリジナルソングを披露した.下田がワカメとヒジキ双方のタイプ産地(新種記載のための元になる標本の採集された場所)であることをアピールするために私が作ったものだ.ブルースなので大人には少しばかり受けていたけれど、子供たちはなんだかぽかんとしていた.その後、全長 2 m 前後のワカメの実物を班毎に実験机いっぱいに広げて、さきの A3 サイズ紙の残の半面にスケッチを描いてもらった.そして、熱湯による変色実験、めかぶからの遊走子の泳出観察と遊走子の顕微鏡観察へと移行した.つづく調理法の体験コーナーのあと、最後に卒業試験が行われた.いりこだし、カツオだし、ワカメだし、だしなしの4種類の汁をテイスティングして、どれが何かを当てるのだ.当たらなければ、列の後ろに並んで再挑戦になる.当たれば、修了証をもらうことができる.今回の子供たちは高率で正解していた.そして、全員修了証を受け取った時点で解散となった.指導側の大人も子供たちも終始楽しく過ごすことができたあっという間の 3 時間だった.指導サイドは各々の持ち味を活かしてお互いをサポートしあいながら、良いチームワークだった.扱う生物素材がどんなに素朴なものであっても、経験豊かで前向きなスタッフが集まれば、実のある時間を紡ぎ出すことができるし、楽しい.指導する側とされる側の両者が楽しめるということは、インパクトのある自然教室を実施するための必須条件だと思う.

2009年3月13日金曜日

実習終了

 3 月 9 日の私の祈りが天に届いたのか、4 泊 5 日の臨海実習は、まるで実習のスケジュールに合わせたように天気に恵まれた.昨夜の『実習反省会』はずいぶん遅くまで続いたようだったが、最終日である今朝の集合時間 9 時には、みなきっちりと集合した.手際の良い片付けと掃除で 10 時前には解散となった.皆けっこう実習を楽しんでいてくれたようなのが、嬉しかった.今回ほとんどが 2 年生だったので、何人かはまた下田の実習に参加してくれることだろう。楽しみだ.解散後、残る後片付けをしていたら、次第に天気が崩れてきた.

2009年3月11日水曜日

ガガンボ哀れ

 パソコンに向かって仕事をしていたら、蛍光灯の光に向かって飛んで来た糸くずの塊のようなものが私の側頭部を通過していった.びくっとして避けながら目で追うと、それは交尾しながら飛行しているガガンボのペアだった.春を感じた.それから 2 時間も経った頃だろうか.デスクの左サイドに並んでいるファイルキャビネットの側面あたりでにわかに激しく空気が動いた.はっと身を引いてキャビネット側面の壁に眼をやったとたん、再度空気がざわついて、その場所から1匹のガガンボが慌ただしく飛び立った.ガガンボのいた場所に眼を戻すと、そこにはハエトリグモに押さえ込まれた 1 匹のガガンボの姿があった.ハエトリグモの顎にはさまれているらしい虫の体は 10 分ばかりも震えていたが、やがてその動きは止まり、次に眼をやった時には両者とも視界から消えていた.交尾中に襲われたガガンボのペアの片方が捕われ、片方は脱出したのだ.私にはガガンボの雌雄の区別はつかないが、きっと脱出したのは雌であろうと思った.

2009年3月10日火曜日

大移動と大掃除

 学生実習の最中ではあっても年度末である.年度末までにこなさなけばならない仕事は山積している.1部屋分の物品を棚ごと他の部屋に移すことが年度内に必要となったため、実習の担当からはずれている唯一の日である今日を活かして、大移動と掃除を学生と共に行なった.昔の先生たちの買い貯めた在庫消耗品が大量にあるのだが、我々には全く使用の見込みのないものばかりで、また古かったり劣化していたりするものもあって、それらの大量処分が必要となった.空間が限られているので、もったいないとばかりも言っていられない.場所を作って必要の見込まれるもののみを移動していった.しかし、頭と体は何となく物品の所在する位置を覚えているものだ.大幅移動で位置関係のシャッフルが行なわれたため、ここ当分は必要品のサーチに時間を要することになりそうだ.やむを得まい.

2009年3月9日月曜日

実習スタート

 春の臨海実習が始まった.年度末の研究室整理に実験や調査や諸々の庶務、それに原稿校閲や原稿書きが絡むなどで落ち着かぬ日々なのだけれど、筑波から学生達がやって来てくれるのは本当に嬉しい.紅や白の梅の花が咲き乱れているような、なんだか心弾むものがある.フレッシュな空気が講義実習室の中を駆け抜けてゆく.天候に恵まれた良い実習になることを祈りたい.

2009年3月8日日曜日

輪投げ

 女房が消防署開催の救急救命講習の1日コースに出かけたため、私は日中子供たちの面倒を見ることになった.メインイベントは下田太陽農協主催の JA 農業祭で行なわれる『家族対抗輪投げ大会』への参加である.既にエントリーは済んでいた.優勝家族はニンテンドーの DSi が貰えるということで、息子がずいぶん前から参加を心待ちにしていた.早めの昼食を済ませて出かけ、11 時半過ぎに受付を済ませ、12 時から競技開始となった.4 つのレーンがあって、それぞれに 8-9 家族ずつくらい居たから、全部で 30 家族以上いたことになる.予選を勝ち残れるのは上位 8 組のみだった.3 人が 1 チームで下の年齢から 3 投ずつしてゆく.うちは A レーンの最終組だった.下の子が 1 点 2 つ入れて 2 点になったところで、上の子が 7 点と 4 点を入れて総計 13 点となった.しんがりの私に期待がかかるシーンだ.ところが、3 投とも微妙にはずれて、悲しい 0 点となってしまった.すっかり DSi を持ち帰るつもりで来ていた息子には、冷たい眼を向けられて『もういいよ、帰ろう・・・』と言われてしまった.25 点が予選クリアの点だったので、私が息子並みの点を取っていれば、可能性はあったわけで、言葉もなかった.練習して来年は雪辱に臨みたいものだと思ったけれど、そんな気持ちを来週には忘れてしまいそうな自分がまた一段と情けない.

2009年3月7日土曜日

散髪

 散髪代は高い.家族全員がまともに美容室や理容室に行こうものなら、わが家の財政はたちまち破綻する.理不尽なことにふつうの理容室では散髪は定額制で、毛髪量や所要時間は勘案されない.私が理容室に行こうものなら、散髪時間は通常の3分の1くらいですむ.ものすごく損をした気持ちになるのだ.そんなわけで、わが家では女房が自分以外の家族の散髪を行なう.自分自身は近くのスーパーに附属の格安美容院で、もっとも上手な美容師を指名して髪を切ってもらっているらしい.天気の良い週末には庭で、寒い季節や風の強い時には室内で髪を刈ってもらう.首にタオルを巻いたあと、落ちた髪の毛を受けるためのおちょこ傘のようなものをかぶる.『襟巻き怪獣ジラース』のような風情である.今日の午後は屋内散髪だった.久々に冬毛を落とし、春に備える心持ちになった.

2009年3月6日金曜日

プラスチックの接点

 不思議に思っていることがある.昨年末に更新した自宅電話の子機と電動歯ブラシに共通することだ.これらは、いずれも未使用時は充電器兼用の台座に置く.充電のためには電気が通わなければならないはずだから、当然本体と台座の間には金属接点があって然るべきである.少なくとも前の電話の子機にはそれがついていた.金属接点の接触不良でうまく充電できなかったことがあったから、しっかり覚えている.ところが、子機と歯ブラシのお尻の部分には金属が使われていない.接点であるべき部分は本体側も台座側もプラスチックでできている.このことから判断するに、プラスチックが電気を通しているとしか考えられない.そういえば、何年か前に導電性のプラスチックが偶然をきっかけに開発されたというニュースを耳にしたような記憶がある.その技術が既に家庭電化製品にも使われるようになってきたのだろうか.あり得ないと思っていたことが、知らぬ間にそっと現実になっている.そして、私たちはそれとは気付かずにまるで魔法使いのごとくに振る舞うようになっている.

2009年3月5日木曜日

ワカメづくし

 2月から毎週ワカメを採集して調査を行っている.実験やデータ収集に必要な部位はわずかなので、葉やめかぶの多くは食用にまわる.自宅でも消費するし周囲にも配る.調査データをとるための計測時に、ワカメの根や枯れかけの部分や虫食いの部分などの不良部分を取り除いてある.だから、高品質のワカメである.このため自宅の食卓ではワカメメニューが花盛りとなる.みそ汁のワカメ、サラダのワカメ、めかぶとろろ、茎の千切りをショウガなどと和えたもの、ワカメチャーハン、ワカメスープなどなど.ワカメたちは食費の節約にも一役かっている.

2009年3月4日水曜日

ぼんてん

 午前中のうちに沖の生け簀用ロープの掃除を行った.沖に出て俗世と離れているせいか、船の上で作業をしている時には話がはずむ.いろいろな話題が飛び出す.今日は浮き玉の取り付けもやっていたこともあって、その名称に話が及んだ.浮き玉は『びんだま』もしくは『ぼんてん』と呼ばれることがある.前者はむかしガラスでできていたことからついたものかもしれないが、後者は由来がとんと分からない.音は帝釈天と対になった天部の『梵天』であるが、関連があるとも思えない.大きな日本語辞書には浮き玉を指す場合のあることが記載されているが、由来については触れられていない.しばらく『ぼんてん』のルーツ探しを行なってみたい.

2009年3月2日月曜日

私と息子の併行読書

 私たちが学習をかねて英語を楽しむとき、英語圏の小学校高学年から中学生くらいが読んでいる洋書ペーパーバックを多読するのはとてもよいと思う.私はロアルド・ダールももちろん好きだけれどアレックス・シアラーやルイス・ザッカーの本がとても好きだ.最近それに関連して新しい試みを始めた.上の息子が小学校高学年になってきたので、私の読んだことのある洋書の邦訳書を買ってやることにしたのだ.幸いそれらの本はけっこう安くてきれいな古書が出まわっていて、送料込みでも市価の3分の1から4分の1以下の値段で手に入る.アレックス・シアラーの『チョコレート・アンダーグラウンド (BOOTLEG)』にはまってくれたようなので、ザッカーの『穴 (HOLES)』やシアラーの他の作品に進みつつある.楽しいのは私と息子のいずれもほとんど対等な読者であるために、同じような気持ちで話題を共有できることだ.それに、自分が原書で読んだ時に何となく曖昧だったところを子供に聞いて確認してみたり、原文で訳しにくそうな箇所がどんなふうに翻訳されているのかを覗いてみたりする楽しみもある.ちょっと不思議な感じの『併行読書』がうまく続いてくれるとよいと思う.

2009年3月1日日曜日

耳の穴とワカメの葉

 日曜の朝のテレビ番組でもっとも素晴らしいのは『所さんの目がテン!』だと思っている.ずいぶんと昔から続いている科学や雑学の番組で、私も 10 年以上昔に海藻関係の放送の時にお手伝いしたことがある.今朝の放送では 3 月 3 日が近いということで『耳の日』にちなんで『耳』についての話題で、耳の形態のもつ意味や携帯プレーヤーの音量の及ぼす影響、それに耳掃除について、いずれも興味深い実験や調査の結果が述べられていた.中でも面白いと思ったのは、耳垢の話だった.私は外部のほこりがトラップされて耳あかができると思っていたのだが違っていた.鼓膜から耳の開口部までのトンネルの内側は鼓膜周辺から常時細胞が更新されることによって、内側から外側に向けてベルトコンベア式に細胞シートが動いていて、古くなった部分が耳垢になるという.このため、耳の奥には耳垢が溜まらず、耳掃除は穴の浅い部分だけでもよいという.これには本当にびっくりしたが、なんだかワカメに似ているとも思った.ワカメは付け根側の生長点で伸長するために、藻体はベルトコンベアー式に末端に移動してゆく.普通の陸上植物を見る時のセンスだと末端ほど新しいような気がするが、ワカメでは末端ほど古くてボロボロになってくる.そうしてみると、ワカメの末端はワカメの耳垢のようなものだということになる.

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