2008年10月1日水曜日

ワレカラモドキはなぜモドキ?

 図鑑に写真が掲載されているせいか、ワレカラモドキはダイバーさんたちによる認知度がけっこう高い種類である.ワレカラの仲間としては 3 cm を超えるサイズのものもあって大きめだし、シロガヤやアカヤなど大きめのヒドロ虫の群体の茂みに隠れているので、比較的に見つけやすい.体色はすみかとするヒドロ虫の色に似ている.この種の大型の雄では、体の前に構えるカマ(第2咬脚)も大きく、その構え方が非常に好戦的な感じで、顕微鏡で拡大観察すると、目が合った時にちょっと怖くなる.いかにも立派なワレカラなのに『モドキ』が付くのにはわけがある.海藻などにすんでいる日本産のほとんどのワレカラの種類は同じ属に入っている.属というのは同じような種をまとめた上位の分類群であるCaprella 属というのがその分類群でキャプレラともカプレラとも読めるのだが、ワレカラモドキはこの属に収まる種類ではないのだ.体の半ばにある2対の鰓の上部に、Caprella 属では何も無い.これに対して、ワレカラモドキの属するProtella 属では、脚の痕跡と考えられる突起が鰓の上にそれぞれ1個ずつ付いている.そんなわけで、ワレカラとはちょっと違った少数派ということで『ワレカラモドキ』となっているわけだ.雌親は生まれた子供を体にしばらく乗せておく子守行動を示すようだが、その期間や意味合いについては、まだ何も分かっていない.

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